すっげえ良い音で録ると楽器数が少なくて済む
話題はどんどん進むな。本当に書きたいことがどんどん先送りだ罠。
ちょうど昨日あるアーティストと話したことだったのでタイムリ。
オレら既に打ち込み音で安易に(個人的には認めたくないが対比の為そう書く)レコーディングしてるけどね、サンプリング音なんてそもそも周波数上下切られてラジカセみたいな音になってるのも多いんだからさ、それをいくら並べてもアレンジしても、「音」という物質としてはラジカセに変わりはない。
70年代までのアーティストやエンジニアは、たった一つのバスドラの音を録るのに何日も掛けたり平気でしたわけで、その音ひとつひとつの持つ物質エネルギーと言うかさ、密度ってのは地球一個分くらいあると思うのよね。福田首相じゃないけどさ、そのバスドラの音は地球よりも重い、ってことでさ。
そうすっとね、オレは特にBASSの音にこだわりがある人間なんだが、その一個の音が説得あれば、他は要らない、ってなるのよ。例えばモータウンのジェマーソンのBASS*1にしたって、そのBASS一個で、ストリングスから対旋律から、すべてのオーケストレーションの代わりを果たしてるわけさ*2。
そういうものの、ありがたい「芸術ぶり」ってのは、耳で聞くしか判らなくて、それを判る為には、素晴らしく再現能力の高いオーディオで確認するしかなくて*3、そうすることによってさ、「ドン」とたった一発のバスドラで鳥肌っていう経験を感じることが出来るわけだわ。
んでね。個人的にだけど、それらのありがたみとか恩恵を一番うけてるのが、サンプリングとかを主な仕事としてる方々だと思うのよね。
つまり彼らは、ビートと音のエナジーだけをリアルだと思って使用してるからなのよね。
心地よいビートと、小便ちびりそうな音色には心底飢えてると思うんだけど、どうだろ?
少なくともオレは、ジョンボーナム*4のスネア一発で失神したぜ。
そこでな。戻るのはここなんだ。
http://d.hatena.ne.jp/mrcms/20070828/1188276003
なに使おうがどんな音だろうが、楽曲さえ良ければすべてオーライ。
そうね。実際ありうるのよ。一発屋さんとか、良く判らない爆発的ヒット曲で、これってクォリティどうなのよ?ってのが。しかし勝てば官軍だし、もっと言えば、技術班が唯一敵わない部分がそこでしょうな。逆に言えば、オレらが勝てるのは唯一そこだったりするからな。
つうことで、今回のインスパイア元はこちら。
福田::漂泊言論 - FC2 BLOG パスワード認証
これの林檎関連でいうと、DVDオーディオ出してることとか、超芳醇弦アレンジとか、まぁ言いたいことはいろいろあるが、本当の意味でのプロが本領を発揮する場が少なくなっているのは事実であるものの、それが果たして求められているのか、そもそも知らないから求められようもないのか、それは現場すら含めるのか、立場として可能であった林檎氏がここで敢えて踏み切ったのか。それは恐らく、耳に対する啓蒙であると同時に恩返しでもあったろう、とか…。一応言っとくけど*5。